12.30.2014

2014

2014

Happy holidays. Hope the New Year is your best every!


今年も本当に多くの方々のお手元に届けることが出来た年でした。
海外の方々からのご注文も増え、
初の海外お取扱い店が出来た年でもあります。
僕の英語がおぼつかないのに、丁寧なメールを頂けること、
お話させてもらえることに感謝の気持ちで一杯です。
あらたに学ぶ機会を与えられているということ。
これからは、友人の力も借りながら、
下手でも少しずつ、英語でもご案内させて頂こうと思います。

この道具は、使う方のメッセージを伝える役割を担っています。
ことばの違う海の向こうで、または僕の知らない近くで、
誰かと誰かを繋いでいてくれていたら、とても幸せです。

今年は、お陰様で念願の精密加工を施す機械を導入できた年でもあります。
6月半ばから製作したホルダー全てに、この機械による底面切削加工を施しています。
この加工によって、印字の精度が格段に上がり、薄い紙を傷めることなく、
小さな活字の細やかな部分もはっきりと写せるようになりました。

いまは紙を凹せる印字をさすような、活版印刷ですが、
本当は僕らの生まれる前から、
多くのクライアントの要望を満たす為に、紙を凹まさないことを目指してきました。

これを築地活字の大松さんという活字鋳造技師に教わってきました。
大松さんは50年、紙を凹まさない為の、精度の高い活字を作られています。
これは大松さんに限らず、鋳造されてきた活字はすべて、職人が高度な調整をしています。
そのうえに、製版の技術、印刷の技術があり、活版印刷の印刷物が生まれてきました。

大松さんは今70歳、初めてお逢いしてからいつも優しく接してくれます。
これから僕はどれだけ学べるだろうか、
そして大松さんや、その他の鋳造技師の次世代はいるのだろうか。
関係がゆっくりと深まり、ことばにはならないものが伝わってきます。

僕は自分の仕事で、もっと心から応えたくなりました。
出来る限り自分の精度をあげてやってみようと、機械を導入し、練習し、
新活字ホルダーのサイズや各部を見直し、新作をつくりました。
片手で出来る作業に、もっと活版印刷の美しさを見せてほしいと思いながら。

沢山の試験用活字を築地活字から提供して頂き、
出来上がった新作は、活字の静かな美しさをよく写してくれるものになりました。
やっと、本当に心から楽しめる道具になったと思います。

名称はMODERNE-2です。
新機能や詳細は年明けにお知らせいたします。

今後は、このMODERNE-2に全力を注ぐため、
現行のModerneは製作終了致します。
Antikも1月末で受注終了とさせて頂きます。

現在、すべてのお取扱い店様に入れ替えて頂きました。
新しいお取扱い店様も増え、販売も開始致しました。
是非、皆様に実物を手に取って頂きたく思います。



また、追って、今までのModerne、Antikをご使用いただいている皆様へ
MODERNE-2と同じ精度の底面切削加工を施すご提案をさせて頂こうと思っています。

                                



長々となってしまいましたが、
それでは皆様、本当に今年もありがとうございました。
来年も沢山作っていこうと思いますので、宜しくお願い致します。

皆様にとっても、より素晴らしい新年をお迎えください。


廣田 岳